スメラギ・李・ノリエガの憂鬱 その1 女性クルーと私



私、スメラギ・李・ノリエガは故あってソレスタルビーイングの行動に参加した一人だ。
どのような経緯でここに至ったのかは、私の捨てた本名と共に『秘匿義務』の元、何も語らないでおきましょう。
勿論、年齢もね。
一部では、年齢を語りたくなくなったら『オバサン』になった証拠だ、等と失礼な声もあるようだけど、年齢と言う概念に囚われることなく、一人のここにある人として見て欲しい、とい建前の元、女の年齢は語らいのがミステリアスでしょ?と誤魔化しの言葉を口にするのは・・・。
えぇ、確かに。
年齢を気にしているからに他ならないのは、悔しいけれど事実だわ。
でもね。
私にだって少しだけ言い分ってのがあるのよ?
同じ条件下に置かれた女性なら、そうね同年代くらいの女性なら半数くらいは頷いてもらえるんじゃないかしら?
ソレスタルビーイングとして最前線で戦うことになる、艦船プトレマイオスの乗員は、その機能・規模・作戦行動からすれば恐ろしいくらいに少ない、少数精鋭。
男性が8名、女性が3名。
ここにはガンダムマイスターも含まれる。
たったこれだけの少人数で、たった3名しかいない華やかかつ男性乗員の心の癒しと潤いを与える女性乗員の中で、実は私が一番年上なのだ。
それだけではない。
総11名の中で、私の位置は何と半分より上に位置する高齢者だったりする。
世間で言えば20代半ばの女性など、まだまだひよっこだの若造だのと称されてしかるべき年齢であるはずなのに、この艦船限定で言うならばベテランだとか御大だとか、耳にしたくない称号を与えられる年齢位置なのだ。
自身の精神の均衡と健康のためにも、微妙に防衛していても許されるだろう。
まして、他の二人と言えば。
プトレマイオスの乗員として選出された時にはまだ揃って十代だったのだ。
しかも一人は少女の域にようやく辿りついたばかりのローティーン。
肌はツヤツヤと健康そうに張り、頬は子供らしくほのかにピンク付いている。
唇には幼さを感じさせるぽってりとした質感に、目元にはまだあどけなさが残るような、誰もが『守ってやらなきゃ』と思ってしまうほどに幼い少女だった。
もう一人は、好ましいくらいにハキハキとして明るいハイティーンの、大人と子供の境界線を脱しようとしている危うさが残るコだ。
ふっくらと肉付きの良い頬は明るく、目元にはもちろん、首元にも、口元にも小じわの一つもまだまだ存在しない。
大人の女性としての柔らかさを持ち始めた顔のラインに、人種特有のすらりと伸びた手足には肉感的なラインを帯びている。
出るところは出て、引っ込むところはそこそこにという、ややふっくら型の男性に好まれるボディラインをしていた。
振り返って、自分と言えば。
すらりと伸びた、と称するには正直足りない遺伝子の元に支配された手足。
取り柄の一つは肌理の細かい肌にある筈なのだが、ここしばらく酒に溺れた生活でお手入れが満足にされていなかったためか陰りが見え始めているし、髪のキューティクルにも些か衰えがあり、アルコールで迫り出した感のある下腹には二人を見た後では、絶望感しか感じえなかった。
今はまだ顔合わせのみで、実際に行動を共にし始めるのは、それぞれに与えられた役割に応じた研修の後だ。
それまでの僅かな間に、必ず、変わってみせましょう!女の意地で。
その時に『実は・・・』と語った年齢に『えぇ!とてもそうは見えない!!』と感嘆を持って自分を見直してもらうのだ。
その考えこそがすでに『オバサン』だと言わば、言え。
それでも、綺麗でいたいのが女性なのだ。
まして、乗員の半分以上は男性で、現在判明しているガンダムマイスター達はどいつもこいつも『基準は顔かっっ!?』と問いたいくらいに良い男ばかり。
年齢差があるし、自分の心はエミリオの物だけど、『綺麗なお姉さん』とか『憧れる』とか、そうした対象でありたいと思う心もまた(曲がり角近くの)女性ならではであろう。
今日から睡眠は22時から8時間だ。
しっかり睡眠をとって、目の下に隈なんか絶対につくらないし、美容に必要な栄養素はサプリメントで補強しよう。
化粧品は、潤いと艶・張りアップをメインとしたもので、年上の成熟した女性を知的にアピール出来るような服も選ばなければ。
スメラギ・李・ノリエガとして、新たな人生をここに戦い続ける事を誓うわ、エミリオ!
見ていて、私はいつでも貴方の自慢の恋人で在れるよう、皆に感嘆のため息を吐かせて見せるから!!
鬼気迫るものを漂わせながら一人で燃えるスメラギの、明日はスメラギにしかもちろん見えはしないので、彼女の努力の結果は対男性クルー編で語らせていただきましょう。






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